
第9話「内容語リズムで読む長文」
「英語って、読んでるうちに意味が流れていくんだよ」
翔太の言葉が、ふと響の耳に残っていた。
翌週の塾の授業。
いつものように黒板の前に立つアキ先生が、英語の長文を配りながら言った。
「今日は、“直読直解”ってやつを体験してもらう。文を止めずに、前から意味をつかんでいく読み方だ」
響はちょっと身構えた。
(英語の長文なんて、いつも時間が足りなくなるのに……)
だけど、アキ先生の声は続く。
「そのコツは“リズム”にある。リズムで読むんだ。今日の文はこれ――」
This is the reason why I decided to try a new method.
「この文を日本語に訳さず、音のリズムで感じてほしい。“内容語リズム”というやつだ」
アキ先生は一語一語の音を区切らずに、スムーズに発音した。
そのときだった。
響の中で、何かがパッとひらけた。
(……歌詞みたい)
This is the REASON why I DECIDED to try a NEW METHOD.
頭の中で何度も繰り返すうちに、まるでメロディのように流れ出した。
「理由なんだ、私が新しい方法を試そうと決めた――」
そんな意味が、訳さずに浮かび上がる。
(わかる。まるで歌詞の意味が音で伝わってくる感じ)
隣の翔太が小声でささやいた。
「意味は、頭の中で“後から”浮かんでくる。それがリズムで読むってことさ」
響はうなずいた。
“内容語”だけに自然とアクセントが置かれ、意味の流れがそのまま音になっていた。
「読むって……歌うのと似てるのかも」
教室の蛍光灯の音、紙をめくる音、鉛筆の動き──
そのすべてが静かに調和する中で、響は目の前の英文を、音楽のように読んでいた。
(つづく)
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