武蔵ゼミナール
オフィシャルブログ

カテゴリー別アーカイブ: ④彩と英語のキャンバス

彩と英語のキャンバス 第12話「あなたの“色”で、未来を描け」

美大志望・彩

12話「あなたの“色”で、未来を描け」

その朝、空は真っ白だった。

試験会場へ向かう電車の窓に映る自分の顔を見て、彩はそっとつぶやいた。

I’m not afraid anymore.

 


 

ポートフォリオも、自己推薦文も、
面接で使う英語フレーズも、すべて準備はできていた。

でも、彩の中で一番大きく変わったのは――
**「英語を通して、自分を表現できる」**という確かな感覚だった。

 


 

面接室の扉が開いた。

英語と日本語が交互に飛び交う空間。
緊張の中で、彩は、直聞直解のリズムを思い出した。

意味が、音のまま、頭にすっと入ってくる。

 


 

What inspired you to create this work?」

試験官の問いかけに、彩は深くうなずいた。

“I painted this when I was thinking about my little brother.
He had to stay in the hospital for a while, and I wanted to show that even in silence, there’s warmth.”

言葉が出てくるのを待っている間、
心の中には、アキ先生の声と、あのアトリエの光があった。

 


 

面接の最後、試験官のひとりが微笑んで言った。

Your portfolio is not just beautiful. It tells a story.」

そのとき、彩の胸の奥で、なにかが“ほどけた”。

 


 

合格発表の日。
パソコンの画面に映った「合格」の文字を見たとき、
彩の中で、色と音と英語が――ひとつの線になった。

 


 

アキ先生から届いた短いメッセージ。

「君の描いた道は、君にしか描けない“キャンバス”だ。」

彩は、返信を書きかけて、ふと、空を見上げた。

今日の空には、やわらかな光が差していた。

 


 

そして、彼女は英語でつぶやいた。

My future is full of colors I haven’t used yet.

そう、これからが、ほんとうの始まり。
英語とアート、ふたつの翼を手に入れた彼女の“未来”が、いま動き出す。

 


 

【完】

『彩と英語のキャンバス』――直聞&直読直解法で、自分の言葉を見つけた少女の物語。

 


 

「あなたの英語には、あなたにしか描けない“色”がある」

彩のように、芸術の道を志す高校生にとって、「英語」はときに遠い存在に感じられます。
でも本来、英語とは、「世界中の人と心をつなぐ表現手段」です。
絵を描くことも、音を奏でることも、英語で誰かと語ることも――
すべては、「想いを伝える」ことに変わりはありません。

直聞直解法と直読直解法は、英語を“芸術的感性”でとらえる学び方です。
日本語に訳すのではなく、英語のまま「意味を感じて」理解する
だからこそ、アーティストであるあなた自身の「感覚」と自然に結びつくのです。

彩は、「音」「光」「色」「言葉」が一本の線でつながる感覚を手に入れました。
そして、英語も“自分のアート”の一部であると感じるようになりました。

あなたも、自分だけの“キャンバス”を描いてください。
英語という筆を使って、世界を自由に旅するために――。

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第11話「ポートフォリオという名の旅」

美大志望・彩

11話「ポートフォリオという名の旅」

冬のアトリエに、静かに差し込む午後の光。

彩は、自分の作品をひとつずつ机に並べていた。
紙の上に広がる色彩、重なり合った感情、消しきれない線。

――それは、彼女の“旅”そのものだった。

 


 

「彩、ポートフォリオは作品のアルバムじゃないよ」

アキ先生の声が、ふとよみがえる。

「ただの記録じゃなくて、“ストーリー”なんだ。
君が、何を感じて、何を考え、どう変化してきたか。
その軌跡を、見る人に伝えるための“英語のスケッチ”なんだ。

 


 

“英語のスケッチ”――

それは、単語をつなげることでも、
文法を完璧に使うことでもない。

自分の絵を「見る人」に届けるために、
必要な言葉を、必要な場所に描くこと。

 


 

彩は、作品の隣に置くコメントを書き始めた。

This piece was inspired by the silence I felt during my hospital visit.
I tried to express the mixture of fear and hope in soft lines.

そう、あの病室の光が、あの冷たい床の感覚が、
この絵の中に息づいている。

 


 

1枚、また1枚。

彩のポートフォリオに、英語の言葉が少しずつ“命”を与えていく。

言葉を通して、絵が“説明”を超えて、“共鳴”を生む。

 


 

「描くことも、話すことも、同じなんだね」

そうつぶやいた彩に、
画材の隙間から光が差し込んだ。

英語とアート――ふたつの道具が、彼女の未来を描き始めていた。(つづく)

 

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第10話「言葉のポートフォリオ」

美大志望・彩

10話「言葉のポートフォリオ」

――自分のアートを、英語で語る。」

アキ先生のその一言が、ずっと彩の心に残っていた。

図書室の窓辺、スケッチブックを閉じて、彩は英語のノートを開く。
ページの上に広がるのは、自分のアートを表現するための「英語の線」だった。

 


 

「志望理由書、そろそろ書いてみないか?」

週末のオンラインセッションで、アキ先生が言った。

「もちろん、最初から完璧じゃなくていい。
でも、“自分がなぜアートをやっているのか”を、英語で言語化すること自体が練習になる。

 


 

彩はドキリとした。

今まで、自分の絵に「言葉をつける」なんて、
どこか逃げていた気がする。

でも、少しずつ見えてきた気がする。
あの時の「音」、あの時の「色」、心が動いた瞬間――
それは全部、自分の中に“レイヤー”として重なっている。

 


 

彼女は一文目を書き出した。

Art is the only way I can explain the colors in my mind.

鉛筆の先が、少し震えた。

これは、「絵」ではなく、「言葉」で描く自分」だ。
そう思った瞬間、彩の中でまた新しいレイヤーが重なった。

 


 

「志望理由書って、“言い訳”じゃなくて、“ラフスケッチ”なんだ」

アキ先生が、そんなことを言っていた。

“完璧じゃなくていい。未完成でも、自分の中にある色を出してみること。”

 


 

彩はページの最後に、そっと書き添えた。

I draw because words were never enough.
Now, I learn English so I can finally speak through my art.

それは彼女にとって、初めての「英語による自己表現」だった。(つづく)

 

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第9話「言葉のレイヤー」

美大志望・彩

9話「言葉のレイヤー」

 

秋が深まり、学校では三者面談の時期が近づいていた。

彩の胸には、ある小さな“焦り”があった。

(言葉にできない。私は……なにを描きたいの?)

 


 

放課後、武蔵ゼミナール。
彩は、いつものようにアキ先生の前に座った。

「推薦入試の準備、進んでるかい?」

「いえ……志望理由書、書こうとしたんですけど……」

「うまく、言葉にならない?」

彩はコクリとうなずいた。

「絵なら、伝えられる気がするのに。
でも、文章にしようとすると、急に自信がなくなって……」

 


 

アキ先生は、彩のスケッチブックを手に取った。
そこには、色彩豊かな抽象画がいくつも描かれている。

「この絵には、タイトルがある?」

「ええ。“Inside the silence”です。
“沈黙の内側”――って意味です」

先生はにっこり微笑んだ。

「じゃあ、こう考えてみよう。
英語も、日本語も、**言葉という“絵具”**なんだ。
ひとつの絵に、何層にも重ねて使っていい」

 


 

その日、彩は初めて“英語のまま”スピーチを書く課題に挑戦した。

最初に書いたのは、たった一文。

Art is how I speak when I have no words.

「これ、まさに彩の言葉だね」
「はい。言葉がなくても、色で“話せる”――そう思ってきました。
でも、言葉もまた“色”なんだって、ようやく思えてきました」

 


 

一週間後、校内スピーチコンテストの予選。
彩は壇上で語った。

“I used to believe I could only express myself through colors.
But now I know—language is just another kind of paintbrush.”

“My dream is to create art that speaks across borders.
No translation, no explanation—just feeling.”

教室が静まり返る。

だれもが、“英語で話す彩”の中に、“描く彩”を見たのだった。

 


 

帰り道、彩はふと空を見上げた。
淡い夕焼けが、雲のレイヤーの向こうに広がっていた。

「言葉も、色も、光も――全部、レイヤーなんだ」
「重ねて、自分だけの“表現”になるんだね」

 


 

アートと英語が交わったとき、
そこに“境界”は存在しない。

(第10話へつづく)

 

 

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第8話「見えない線を描く」

美大志望・彩

 

8話「見えない線を描く」

 

文化交流イベントの翌日。

彩はひとり、アトリエの隅でキャンバスに向かっていた。

(描きたい。でも、形にならない……)

心の中にある“何か”を表現したいのに、手が止まる。
彩はふと思った。

(進路調査票……まだ白紙のままだ)

 


 

放課後、武蔵ゼミナールにて。

「ねえ、アキ先生。もし……もしもですよ?」
「うん?」
「美大じゃなくて、海外のアートスクールを目指すって、ありですか?」

アキ先生は一瞬だけ目を細めたあと、ゆっくりうなずいた。

「もちろん“あり”だよ。というか――“最高に面白い”選択だと思う」

「でも私、英語、まだまだで……。海外なんて、自分にできるのかなって……」

 


 

先生は、壁に貼られた世界地図を指差した。

「ここに見える線、ぜんぶ“見えない線”なんだ。国境も、言語の壁も、
最初は“ある”と思ってるけど――実は“引いてるのは自分自身”なんだよ」

……自分、ですか」

「君が“描いていい”と思えば、どこまでも線はつながる。
むしろ、君にしか描けない“自由な線”を、世界は待ってるんだ」

 


 

その夜。彩は再び筆を取った。
テーマは、《境界線》――Borderlines。

まず、白い画面の中央に黒い線を引く。
その上に、にじむように色を重ねる。

青が赤に染まり、黄が灰に溶けて、やがてすべてが一つになる。

そして、彩は小さく英語でタイトルを書き添えた。

There is no border in colors.

 


 

数日後。アキ先生がぽつりと言った。

「君の絵、もう“英語で考えてる”んじゃない?」

彩は笑った。

「うん。英語で話すことも、描くことと同じ。
思ったより、境界線なんてなかったんだなって」

 


 

キャンバスの前に立った彩の姿は、どこか凛としていた。

世界は一枚のキャンバス。
そこに、自分だけの“線”を描いていいんだ。

(第9話へつづく)

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第7話「プレゼンテーションの筆先」

美大志望・彩

7話「プレゼンテーションの筆先」

 

……英語で、自分の絵を説明するんですか?」

美術の授業中、担当の先生から告げられた突然の課題に、教室がざわめいた。

「来月の文化交流イベントで、各自の作品を英語で紹介してもらいます。
テーマは “My Color, My Story”。」

彩の心がピンと震えた。

(英語で……自分の色を語る?)

 


 

放課後。
彩は武蔵ゼミナールのアトリエスペースに駆け込んだ。

「アキ先生! 今日、びっくりすることがあって!」

「おっ、何か面白いこと?」

英語で、絵のプレゼンをやれって……

一瞬驚いたアキ先生は、すぐにニヤリと笑った。

「いいね、それは絶好のチャンスだ」

 


 

アキ先生は、彩のスケッチブックを開いた。

「君の絵は、すでに“英語で考えられてる”。
あとは、それをそのまま言葉に出すだけだよ」

「でも、“この青には少し哀しさがあって……”とか、そんな感覚って、どうやって英語で言えばいいんですか?」

「こう考えてみて。“英語は音楽”なんだ。
色や感情を、英語という旋律で奏でると思って」

 


 

数日後。

彩の机には、色鉛筆の横に英語のフレーズカードが並んでいた。

This deep blue expresses a quiet sorrow.
The yellow light reminds me of childhood warmth.
I used crimson to show strength in silence.

(訳してない。感じたままの英語で書いてる……)

それは、かつての自分にはなかった思考と言語の一致だった。

 


 

そしてプレゼン当日。

教室に集まった生徒と保護者の前で、彩はゆっくりと話し始めた。

This painting is called Silent Morning.
The grayish light here… represents a time when I felt uncertain, but also calm.」

英語で語る自分の世界。
言葉が、絵と一緒に生きていた。

 


 

終わった後、誰かが言った。

「彩の英語、まるで絵の一部みたいだった」

それを聞いて、彩は初めて自分の中で何かが確信に変わった。

私は、“英語で表現できる”

 


 

彼女は、筆を持つ手をぎゅっと握った。

描くことも、話すことも――すべて、ひとつの“アート”なんだ。

(第8話へつづく)

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第6話「色の名前を英語で呼ぶ」

美大志望・彩

 

6話「色の名前を英語で呼ぶ」

 

ある日、美術室での放課後。

彩は、いつものように空を描いていた。
けれど今日は、少し違うことに挑戦していた。

「色に名前をつける」――英語で。

キャンバスの端に、彩はこう書き添えていた。

soft lemon blue
burnt orange edge
hushed pink air

(色って、英語でこんなに“詩”になるんだ……)

いつも使っていた“青”や“赤”が、
英語にすることで違う表情を見せてくる。

 


 

その晩、武蔵ゼミナール。

アキ先生にスケッチを見せると、
彼は一言、感嘆の声をもらした。

「まるで、英語で描いた絵だね」

「色って、感覚じゃないですか。
でも英語だと、“感覚を伝える言葉”が、意外と多くてびっくりしました」

「その気づきは大きいよ。
英語は、日本語よりも“抽象的な感覚”や“空気感”を伝えるのが得意なんだ」

 


 

「たとえば、“blue”だけじゃなくて、sky blue, navy blue, steel blue, powder blue…
日本語で“青”って言うと一色だけど、英語は違う。世界が違って見えるんだよ」

「そうか……色の“差”を意識するから、表現が細かくなるんですね」

「それはつまり、感じ方が繊細になるってこと。
英語で色を呼ぶことは、心の動きを言葉にする訓練にもなるんだ」

彩は目を輝かせた。

 


 

その帰り道。
彼女の頭には、あるイメージが浮かんでいた。

(今まで、色は“見るもの”だった。
でも、今は“語るもの”になった)

彼女は歩きながら、ふと呟いた。

Today’s sky is a soft mix of lavender and cream.

その瞬間、
彼女の中で色と英語が、完全に重なった。

 


 

彩の世界は、英語という“ことばの絵の具”で塗り替えられ始めていた。

(第7話へつづく)

 

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第5話「イメージで読む、心で描く」

美大志望・彩

5話「イメージで読む、心で描く」

 

翌日。彩は学校の帰りに、また塾へと向かった。

武蔵ゼミナールの木の扉が、もう「少し懐かしい場所」に感じられるのが不思議だった。

アキ先生は、今日も静かに言った。

「今日は、“文章”を読んでもらうよ。
でも条件はひとつ。訳さないこと。
そのかわり、頭の中に**“絵”を描きながら読むこと**」

 


 

プリントに書かれた英文はこれだった。

She opened the window, and a breeze carried the scent of the morning into the room.

目を閉じて、彩は想像した。

(少女が窓を開ける。やわらかい風が入ってくる。朝の匂い。カーテンがゆれて――)

言葉がそのまま“場面”になる。
まるで、英語が絵の下書きをしてくれるようだった。

……感じられました」

「訳さずに“見る”。
これが、“直読直解”の第一歩なんだ」

 


 

「多くの人は、“単語の意味を調べる”ことが英語だと思ってる。
でも、君みたいに絵を描く人には、“言葉をイメージに変換する力”がある。
むしろ、普通の人よりずっと有利なんだよ」

……そんなふうに思ったこと、ありませんでした」

「たとえば、“run”って言葉を見たら――どう感じる?」

「うーん……走る……じゃなくて、何か動き出す感じ。風を切って、足音が響いて、っていう……」

「それだ。“意味”じゃなくて、“動き”を感じる
それが、言葉を“生きたまま”理解する力なんだ」

 


 

その日から、彩は毎晩のスケッチのあと、
短い英語の文章を“読む”のではなく、“描く”ようになった。

The leaves whispered in the wind.
→ (風に揺れてささやく葉。光と影のグラデーション)

He watched the sky turning orange.
→ (夕焼けを見上げる人影。空の移ろい。静けさ)

 


 

(英語って、こんなに感覚的でよかったんだ)

気づけば、英語の“教科書的な冷たさ”はもう消えていた。

そこにあったのは、心と心をつなぐ“色のついたことば”だった。

 


 

放課後、塾の帰り道。
空はあたたかいピンクに染まっていた。

彩は思わず、空を見上げて、つぶやいた。

The sky is full of soft colors today.

英語が、彩の“日常”に溶け込んでいく。

(第6話へつづく)

 


 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

 

彩と英語のキャンバス 第4話「線がつながるとき」

美大志望・彩

4話「線がつながると」

 

「英語を“感じる”……」
塾を出た帰り道、彩は何度もその言葉を反芻していた。

(訳さずに意味を受け取るなんて、そんなことができるんだろうか)
(でも、確かにさっき……“伝わった”気がした)

歩道のタイルに差し込む夕陽が、まるで水彩画のようだった。

 


 

その夜、彩はスケッチブックを開き、
ふと思い立って、絵の下に英語で一言を書いてみた。

I want to show you this light.

……なんとなく、そう言いたかった」

訳そうとせずに、ただ“この光を見て”と伝えたくて、
その言葉が自然と浮かんできた。

不思議だった。
自分の“絵の感情”に、英語が寄り添ってくる感覚。

 


 

翌日、再び武蔵ゼミナールへ。

アキ先生は、彩が書いた英文とスケッチを見て、静かに言った。

「とてもいい。
英語の勉強は、“正解を選ぶ”ことだと思っている人が多い。
でも、本当に大切なのは、“言いたいことがある”という感情なんだよ」

彩は、はっとした。

「感情が先にあって、それを英語が支えてくれる……?」

「そう。英語は“線”だ。
でも君の中には、もう“色”がある。
色に合う線を引いていくのが、この塾のやり方だよ」

 


 

その日から、彩は“線を引くように英語を読む”練習を始めた。

訳すのではなく、
「聞いて→イメージし→感じ取る」ことに集中する。

まるで、
新しい技法を学ぶときのような興奮があった。

 


 

そして一週間後。

先生から手渡されたのは、1分ほどの音声。

“The sunlight came through the window and made everything look like a painting.”

訳さない。
ただ、音に耳を澄ませ、心の中に絵を描いていく。

(光が、窓から差し込んで……部屋の中が、絵みたいになって……)

その瞬間。

彩の中で、音と光と英語の線が――つながった。

 


 

アキ先生の声が、そっと重なる。

「その感覚。
それが、“言葉を描く力”なんだよ」

(第5話へつづく)

 

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com

彩と英語のキャンバス 第3話「塾というアトリエ」

美大志望・彩

3話「塾というアトリエ」

 

その塾は、駅から少し離れた静かな住宅街にあった。
白い看板に、落ち着いた書体でこう書かれている。

武蔵ゼミナール大学受験英語塾

扉を開けると、木の香り。
机と椅子だけの殺風景な空間かと思いきや、
どこか温もりのある空間だった。

「こんにちは」

返ってきたのは、落ち着いた低い声。

「いらっしゃい。君が一ノ瀬さんだね。
先輩の東雲さんから話は聞いているよ」

そう言って微笑んだのは、紺色のジャケットに茶色のネクタイを締めた男性。
アキ先生――彩の英語と出会う“もう一人の導き手”。

 


 

「絵を描く人なんだってね」
先生は彩のスケッチブックを見ながら言った。

「はい。でも……英語は正直、苦手です。
でも、先輩の絵に添えられた英語がすごく印象に残っていて……。
ああいう風に、自分の世界を伝えられたらって、思ったんです」

先生は静かに頷いた。

「いい動機だ。英語は、「自分の世界を“他者に開く鍵”」にもなる」

「鍵……」

「そして鍵は、訳すことでなく、“そのまま理解する”ことで開くんだよ」

そう言って先生は、彩に一枚の紙を渡した。

そこには、ひとつの短い英文が書かれていた。

This is the reason why I decided to try a new method.

――また、この文。

彩はハッとした。遥の絵のキャプションと同じだ。

「この文、読んでごらん。
でも、日本語に訳そうとはしないで、英語のまま、“感じて”みて」

……え?」

「君は絵を描くとき、“これは木で、これは空で”と、
頭でラベルを貼ってから描くかい?」

……いいえ。感じたまま、手を動かします」

「英語も同じ。意味を“置き換える”んじゃない。意味を“見つめる”んだ」

 


 

彩は深呼吸して、その英文をじっと見つめた。

This is the reason why I decided to try a new method.

なんとなく、“何かを変えたかった”という心の動きが浮かぶ。
“新しい何かを選んだ”ことへの想いが、にじんでくる。

訳そうとしていないのに、
その“気持ち”が、じんわり伝わってきた。

……今、なんとなく、“先輩の心”が伝わった気がします」

「それが、直聞直解・直読直解の入り口さ」

アキ先生は、優しく言った。

 


 

その瞬間、彩の中で何かが“開いた”。

絵を描くように、英語を感じる。
そんな方法が、本当に存在するなんて。

新しいアトリエに、彩の手が伸びはじめた。

(第4話へつづく)

 

 

 

 

※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)

 

(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)

 

全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com