
第10話「言葉のポートフォリオ」
「――自分のアートを、英語で語る。」
アキ先生のその一言が、ずっと彩の心に残っていた。
図書室の窓辺、スケッチブックを閉じて、彩は英語のノートを開く。
ページの上に広がるのは、自分のアートを表現するための「英語の線」だった。
「志望理由書、そろそろ書いてみないか?」
週末のオンラインセッションで、アキ先生が言った。
「もちろん、最初から完璧じゃなくていい。
でも、“自分がなぜアートをやっているのか”を、英語で言語化すること自体が練習になる。」
彩はドキリとした。
今まで、自分の絵に「言葉をつける」なんて、
どこか逃げていた気がする。
でも、少しずつ見えてきた気がする。
あの時の「音」、あの時の「色」、心が動いた瞬間――
それは全部、自分の中に“レイヤー”として重なっている。
彼女は一文目を書き出した。
Art is the only way I can explain the colors in my mind.
鉛筆の先が、少し震えた。
これは、「絵」ではなく、「言葉」で描く自分」だ。
そう思った瞬間、彩の中でまた新しいレイヤーが重なった。
「志望理由書って、“言い訳”じゃなくて、“ラフスケッチ”なんだ」
アキ先生が、そんなことを言っていた。
“完璧じゃなくていい。未完成でも、自分の中にある色を出してみること。”
彩はページの最後に、そっと書き添えた。
I draw because words were never enough.
Now, I learn English so I can finally speak through my art.
それは彼女にとって、初めての「英語による自己表現」だった。(つづく)
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