
第11話「ポートフォリオという名の旅」
冬のアトリエに、静かに差し込む午後の光。
彩は、自分の作品をひとつずつ机に並べていた。
紙の上に広がる色彩、重なり合った感情、消しきれない線。
――それは、彼女の“旅”そのものだった。
「彩、ポートフォリオは作品のアルバムじゃないよ」
アキ先生の声が、ふとよみがえる。
「ただの記録じゃなくて、“ストーリー”なんだ。
君が、何を感じて、何を考え、どう変化してきたか。
その軌跡を、見る人に伝えるための“英語のスケッチ”なんだ。」
“英語のスケッチ”――
それは、単語をつなげることでも、
文法を完璧に使うことでもない。
自分の絵を「見る人」に届けるために、
必要な言葉を、必要な場所に描くこと。
彩は、作品の隣に置くコメントを書き始めた。
This piece was inspired by the silence I felt during my hospital visit.
I tried to express the mixture of fear and hope in soft lines.
そう、あの病室の光が、あの冷たい床の感覚が、
この絵の中に息づいている。
1枚、また1枚。
彩のポートフォリオに、英語の言葉が少しずつ“命”を与えていく。
言葉を通して、絵が“説明”を超えて、“共鳴”を生む。
「描くことも、話すことも、同じなんだね」
そうつぶやいた彩に、
画材の隙間から光が差し込んだ。
英語とアート――ふたつの道具が、彼女の未来を描き始めていた。(つづく)
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