
第6話「色の名前を英語で呼ぶ」
ある日、美術室での放課後。
彩は、いつものように空を描いていた。
けれど今日は、少し違うことに挑戦していた。
「色に名前をつける」――英語で。
キャンバスの端に、彩はこう書き添えていた。
soft lemon blue
burnt orange edge
hushed pink air
(色って、英語でこんなに“詩”になるんだ……)
いつも使っていた“青”や“赤”が、
英語にすることで違う表情を見せてくる。
その晩、武蔵ゼミナール。
アキ先生にスケッチを見せると、
彼は一言、感嘆の声をもらした。
「まるで、英語で描いた絵だね」
「色って、感覚じゃないですか。
でも英語だと、“感覚を伝える言葉”が、意外と多くてびっくりしました」
「その気づきは大きいよ。
英語は、日本語よりも“抽象的な感覚”や“空気感”を伝えるのが得意なんだ」
「たとえば、“blue”だけじゃなくて、sky blue, navy blue, steel blue, powder blue…
日本語で“青”って言うと一色だけど、英語は違う。世界が違って見えるんだよ」
「そうか……色の“差”を意識するから、表現が細かくなるんですね」
「それはつまり、感じ方が繊細になるってこと。
英語で色を呼ぶことは、心の動きを言葉にする訓練にもなるんだ」
彩は目を輝かせた。
その帰り道。
彼女の頭には、あるイメージが浮かんでいた。
(今まで、色は“見るもの”だった。
でも、今は“語るもの”になった)
彼女は歩きながら、ふと呟いた。
Today’s sky is a soft mix of lavender and cream.
その瞬間、
彼女の中で色と英語が、完全に重なった。
彩の世界は、英語という“ことばの絵の具”で塗り替えられ始めていた。
(第7話へつづく)
※入塾を検討されている方は入塾面接をお申し込みになり、前もって「★入塾面接の栞」をお読みください。⇒事務局&研究会 | 武蔵ゼミナール (english634.com)
(※毎年7月中旬、期末テストが終わると《入塾面接予約》が集中して、入塾面接ができなくなります。お早めに入塾面接を済ませてくださるようお願いします。)
全国どこでも自宅でオンライン授業
★武蔵ゼミナール大学受験英語塾
https://www.english634.com