
第7話「プレゼンテーションの筆先」
「……英語で、自分の絵を説明するんですか?」
美術の授業中、担当の先生から告げられた突然の課題に、教室がざわめいた。
「来月の文化交流イベントで、各自の作品を英語で紹介してもらいます。
テーマは “My Color, My Story”。」
彩の心がピンと震えた。
(英語で……自分の色を語る?)
放課後。
彩は武蔵ゼミナールのアトリエスペースに駆け込んだ。
「アキ先生! 今日、びっくりすることがあって!」
「おっ、何か面白いこと?」
「英語で、絵のプレゼンをやれって……」
一瞬驚いたアキ先生は、すぐにニヤリと笑った。
「いいね、それは絶好のチャンスだ」
アキ先生は、彩のスケッチブックを開いた。
「君の絵は、すでに“英語で考えられてる”。
あとは、それをそのまま言葉に出すだけだよ」
「でも、“この青には少し哀しさがあって……”とか、そんな感覚って、どうやって英語で言えばいいんですか?」
「こう考えてみて。“英語は音楽”なんだ。
色や感情を、英語という旋律で奏でると思って」
数日後。
彩の机には、色鉛筆の横に英語のフレーズカードが並んでいた。
This deep blue expresses a quiet sorrow.
The yellow light reminds me of childhood warmth.
I used crimson to show strength in silence.
(訳してない。感じたままの英語で書いてる……)
それは、かつての自分にはなかった思考と言語の一致だった。
そしてプレゼン当日。
教室に集まった生徒と保護者の前で、彩はゆっくりと話し始めた。
「This painting is called Silent Morning.
The grayish light here… represents a time when I felt uncertain, but also calm.」
英語で語る自分の世界。
言葉が、絵と一緒に生きていた。
終わった後、誰かが言った。
「彩の英語、まるで絵の一部みたいだった」
それを聞いて、彩は初めて自分の中で何かが確信に変わった。
(私は、“英語で表現できる”)
彼女は、筆を持つ手をぎゅっと握った。
描くことも、話すことも――すべて、ひとつの“アート”なんだ。
(第8話へつづく)
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