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彩と英語のキャンバス 第9話「言葉のレイヤー」

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美大志望・彩

9話「言葉のレイヤー」

 

秋が深まり、学校では三者面談の時期が近づいていた。

彩の胸には、ある小さな“焦り”があった。

(言葉にできない。私は……なにを描きたいの?)

 


 

放課後、武蔵ゼミナール。
彩は、いつものようにアキ先生の前に座った。

「推薦入試の準備、進んでるかい?」

「いえ……志望理由書、書こうとしたんですけど……」

「うまく、言葉にならない?」

彩はコクリとうなずいた。

「絵なら、伝えられる気がするのに。
でも、文章にしようとすると、急に自信がなくなって……」

 


 

アキ先生は、彩のスケッチブックを手に取った。
そこには、色彩豊かな抽象画がいくつも描かれている。

「この絵には、タイトルがある?」

「ええ。“Inside the silence”です。
“沈黙の内側”――って意味です」

先生はにっこり微笑んだ。

「じゃあ、こう考えてみよう。
英語も、日本語も、**言葉という“絵具”**なんだ。
ひとつの絵に、何層にも重ねて使っていい」

 


 

その日、彩は初めて“英語のまま”スピーチを書く課題に挑戦した。

最初に書いたのは、たった一文。

Art is how I speak when I have no words.

「これ、まさに彩の言葉だね」
「はい。言葉がなくても、色で“話せる”――そう思ってきました。
でも、言葉もまた“色”なんだって、ようやく思えてきました」

 


 

一週間後、校内スピーチコンテストの予選。
彩は壇上で語った。

“I used to believe I could only express myself through colors.
But now I know—language is just another kind of paintbrush.”

“My dream is to create art that speaks across borders.
No translation, no explanation—just feeling.”

教室が静まり返る。

だれもが、“英語で話す彩”の中に、“描く彩”を見たのだった。

 


 

帰り道、彩はふと空を見上げた。
淡い夕焼けが、雲のレイヤーの向こうに広がっていた。

「言葉も、色も、光も――全部、レイヤーなんだ」
「重ねて、自分だけの“表現”になるんだね」

 


 

アートと英語が交わったとき、
そこに“境界”は存在しない。

(第10話へつづく)

 

 

 

 

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