
第11話「英語を“演奏する”ように読む」
「じゃあ、今日は昨日の続きね」
そう言って、アキ先生はプリントを配った。
What do you wear on your head?
— A hat.
What do you wear on your hands?
— Gloves.
「今日はこのフレーズを、“読む”んじゃなくて、“演奏”してみよう」
「演奏……ですか?」
響の目が一瞬で輝く。
「そう。英語のリズムは、実は音楽のビートと同じなんだ。
だからね、“読む”より、”感じて”。拍子を取って、言葉のリズムを身体で掴むんだよ」
──タタ、タタッ!
アキ先生が、軽く手拍子を入れて読み始めた。
What do you WEAR | on your HEAD?
— A HAT.
What do you WEAR | on your HANDS?
— GLOVES.
先生の声は、まるでジャズドラマーのスネアのように、跳ねていた。
響は思わず口を開く。
「これ……、完全にスウィングしてる……!」
「その調子!」
アキ先生がニヤリと笑った。
「今ね、響の中にある“音楽家の血”が、英語の中の“音”を探してる。
英語って、“意味”だけじゃないんだよ。
意味と音とリズムが、全部セットなんだ。まるで一つの曲のようにね」
響は、目を閉じて、先生のリズムを真似る。
──What do you WEAR… on your HEAD…?
繰り返すたびに、音が身体に染み込んでくる。
「なんか…これ…歌ってるみたい…!」
「そう。それで正解。英語を話すって、音楽を演奏するのと同じことなんだよ」
アキ先生のその言葉に、響の胸の奥がじんわりと熱くなる。
──こんな英語の読み方、初めて知った。
──これは…“勉強”じゃない。“表現”だ。
その夜、響は何度もあのフレーズを口ずさんだ。
まるで新しい曲を覚えるみたいに。
英語のリズムが、彼女の中でゆっくりと鳴り始めていた。(つづく)
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