
第7話「ジャズチャンツの本当の意味」
教室のスピーカーから、軽快なジャズピアノのリズムが流れ始めた。
♪ What do you wear on your head?
A hat.
What do you wear on your head?
A hat. ♪
キャロライン・グレハムのジャズチャンツだった。
響は目を見開いた。
「……え? これ、音楽じゃん……!」
「そう。英語は音楽なんだよ、響。」
アキ先生が笑う。
「でも、ただの“ノリ”じゃない。ちゃんと“ルール”がある。
たとえばこのフレーズ——」
What do you WEAR on your HEAD?
A HAT.
「強く読むのは内容語(=意味を担う語)。
そのリズムの配置こそが、ネイティブにとっての“英語らしさ”なんだ」
響は息をのんだ。
「日本語と英語の決定的な違い——それは“拍”じゃなくて“音節”」
「音節…?」
「そう。たとえば“ミルク”って、日本語では3拍だよね?
でも英語の“milk”は1音節。
“バスケットボール”は7拍。でも“basketball”は3音節だ」
「全然ちがう…!」
アキ先生が手を叩く。
「日本人の英語が通じない最大の原因は、このリズムのズレ。
音節数を無視して、日本語の感覚でしゃべるから、ネイティブには“なにそれ?”になる」
「えっ……もしかして……音痴みたいなものですか?」
「そう!」
アキ先生は嬉しそうに言った。
「“英語の音痴”状態になってるわけ。
でも、音楽をやってる響なら、リズムで覚える方が絶対に合ってるはず」
響は、ぞくっとした。
ジャズチャンツの音源が再び流れた。
♪ What do you wear on your head?
A hat. ♪
それは単なる英語の授業じゃなかった。
彼女の中で、音楽と英語が重なる音が確かに鳴っていた。(つづく)
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