武蔵ゼミナール
オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2026年5月15日

【潜在意識vs.顕在意識③】 記憶が白く染まるほどの邂逅

百瀬先生と電話

【連載 第3回】魂のバトン ― 記憶が白く染まるほどの邂逅(かいこう)

「なぜ、私は変われたのか?」

偏差値28から72へ。慶應義塾大学への逆転合格。塾講師となった私は、常にこの問いの「答え」を探していました。自分の体験を、単なる「根性論」や「偶然」で終わらせたくなかったからです。生徒たちに同じ奇跡を起こさせるための、再現性のある「科学」がどうしても必要でした。

そんな切実な思いで彷徨っていた2001年6月。私は運命の一冊に出会います。

衝撃のバイブルとの出会い

書店でふと手にした、百瀬昭次先生の著書『君たちは受験生』。 ページをめくった瞬間、体に電撃が走りました。そこには、私が身をもって体験したこと、そして後輩たちに一番伝えたかったことのすべてが、見事なまでに体系化されていたのです。

「受験期は、人生の黄金期である」

その一言に、私の過去の苦しみすべてが肯定された気がしました。読み終えた瞬間、私は居ても立ってもいられず、気づけば受話器を握っていました。面識も何もない著者の百瀬先生に、溢れる感謝と情熱を直接伝えるために。

「先生、驚かないでください。あの本、もし表紙の著者名が私の名前になっていたとしても、全くおかしくない。それくらい、私の人生そのものが書かれていました。ありがとうございます!」

今思えば、初対面の電話でなんという不遜なことを言ったのかと冷や汗が出ますが、当時はそれほどまでに心が昂ぶっていたのです。

伝説が教室にやってきた日

その情熱が届いたのか、信じられないことが起こりました。著者の百瀬先生ご本人が、板橋の小さな英語塾である「武蔵ゼミナール」へ、生徒たちのために講演に来てくださることになったのです。

実は、私はその日の講演の詳細を、正確には覚えていません。 単なるサイン会のような公の場ではなく、わざわざ、私と教え子たちのために百瀬先生がそこに立ってくださっている。 その事実の重み、そして教室を支配した神聖なまでの熱量に、私の意識はただただ圧倒され、言葉を失うしかなかったからです。 『感激』という言葉さえ陳腐に思えるほどの、魂の震えだけが今も胸に残っています。

ただ、一つだけ鮮明に覚えていることがあります。それは、百瀬先生の言葉が、私の魂に直接「バトン」として手渡されたという、確かな手応えでした。

「塾長、本当だったんだ……!」

百瀬先生講演

講演後の教室は、かつてない熱狂に包まれていました。 「塾長、本当に百瀬先生と知り合いだったの!?」「本物の百瀬先生が目の前にいるなんて!」

驚き、目を輝かせる生徒たち。彼らから寄せられたアンケートには、「人生が変わる予感がする」「初めて受験が楽しみになった」という、魂の叫びが溢れていました。

この日、私の中で一つの覚悟が決まりました。百瀬先生から受け継いだこの「志」を、自分なりの形にして、もっと多くの生徒に届けなければならない。

こうして誕生したのが、英語塾でありながら「勉強法」ではなく「生き方」を説く異例の講座、「受験サクセス特別講座・夢実現セミナー」の誕生でした。

※追悼:百瀬創造教育研究所所長 百瀬昭次先生は2014年12月28日、77歳でご自宅で亡くなりました。 教育活動に一生を捧げ、最期まで書くことを貫かれました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 

【潜在意識vs.顕在意識②】成績が上がったのに、なぜサボる?

潜在意識②

【連載 第2回】せっかく成績が上がったのに、なぜサボりたくなるの?

「せっかくこの前の模試で良い点取れたのに、なんで今週は遊んじゃったの?」

私がそう少し意地悪な質問をすると、多くの生徒さんは申し訳なさそうに俯いてこう言います。 「すみません……。つい、気が緩んでしまって……」

でも、私は笑ってこう返します。 「あ、謝る必要はないですよ。それは君の仕業じゃなくて、君の潜在意識の仕業ですから(笑)」

潜在意識は「変化」が大嫌い

人間には、体温を36度前後に保とうとするのと同じように、今の状態(コンディション)を一定に保とうとする「現状維持機能」が備わっています。

※専門的には、これは「ホメオスタシス(恒常性)」と呼ばれています。生物学では、外部の環境が変化しても、体の状態を一定に保ち、生命を維持しようとする生体の機能。心理学では、人間の脳や心に「いつも通りの現状(コンフォートゾーン)を維持しようとする無意識の力が働き、「変わりたいのに変われない」と感じる心理的な要因のことを言います。

たとえば、ずっと偏差値50だった子が、猛勉強して偏差値60を取ったとします。 意識(表面意識)では「やった!この調子で次も!」と喜んでいます。ところが、潜在意識はこうパニックを起こしているのです。

「大変だ!いつもと違うことが起きている!これは異常事態だ、元の50に戻さなきゃ!」

すると、どうなるか。 急にスマホを触りたくなったり、友達から遊びに誘われたり、机に向かっても集中できなくなったりします。これが「気が緩む」の正体です。潜在意識が、あなたを「元の居心地が良い場所(50点)」へ引き戻そうと、強力なブレーキをかけているのです。

成功を「異常事態」にしないために

このブレーキは、あなたが自分を律しようとすればするほど、強く働きます。高層ビルで足がすくむのと同じで、本能が「変化=危険」だと判断しているからです。

だから、頑張るのを一旦やめて、まずは潜在意識にこう教えてあげなければなりません。 「80点を取るのが、私の当たり前。これが普通の状態だよ」と。

「君のせいじゃない。誰にでも起きることなんだよ」 この一言に、生徒さんは一様に驚いた顔をします。これまで親や先生から「もっと頑張れ」「気が緩んでいる」と叱られ続けてきた彼らにとって、自分の「サボり」を脳の仕組みとして肯定される経験は、生まれて初めてだからです。

でも、正体がわかれば対策が打てます。 敵(ブレーキ)の正体を知り、味方に変える。その具体的な方法——「潜在意識というOSの書き換え」について、次から詳しくお話ししましょう。

【潜在意識vs.顕在意識①】努力はいらないー意識なんてもろいよ!

潜在意識①

【連載 第1回】努力を消し去る「合格の科学」

――意識なんて脆いもんだよ!高層ビルの屋上で「怖くない」と言い切れますか?

「先生、今度こそ一所懸命に頑張ります!」 「努力して、絶対に目標校に合格してみせます!」

入塾面接で、そう目を輝かせて語る生徒さんに、私はあえて少し厳しい話をすることがあります。

「意識なんて、脆いもんだよ」と。

多くの受験生が「やる気」や「根性」で壁を乗り越えようとしますが、実はそれが挫折の入り口だったりします。なぜなら、人間の行動の9割以上を支配しているのは「意識(表面意識)」ではなく「無意識(潜在意識)」だからです。

イメージしてみてください。 あなたは今、高層ビルの屋上、その一番端に立っています。下を見れば、はるか遠くに街路樹や車が見える。

その時、自分にこう言い聞かせてみてください。 「怖くないぞ。一所懸命に頑張って、怖くないと思おう!」

……どうですか? いくら意識で「怖くない」と叫んだところで、足はすくみ、心臓はバクバクと脈打ち、冷や汗が出てくるはずです。これが潜在意識の正体です。意識がどれほど「大丈夫だ」と強がっても、潜在意識が「ここは危険だ!」と判断すれば、体も心も一瞬で支配されてしまいます。

勉強も、これと全く同じです。 潜在意識のOS(基本ソフト)が「自分は勉強が嫌いだ」「英語は苦手な60点の人間だ」と認識している限り、いくら表面意識で「頑張るぞ!」と気合を入れても、潜在意識が強力なブレーキをかけて引き戻してしまいます。

だから、武蔵ゼミナールでは「根性」を教えません。 教えるのは、潜在意識というOSを書き換える「科学」です。

必死になって勉強しなくても、気づかないうちに一所懸命になっていて、目標値まで自然と頑張ってしまう。そんな「楽な状態」を作る方法があるのです。

さて、その「厄介な潜在意識」を味方につけるには、どうすればいいのか? 次回、その驚きのメカニズムについて具体的にお話ししましょう。

【第2回予告:80点を取ると「大事件」が起きる!?】

「なぜ、ちょっと成績が上がるとサボりたくなるのか?」 その正体は、潜在意識が発動する「現状維持ブレーキ」。 このブレーキを外さない限り、受験勉強はいつまでも「自分との戦い」になってしまう……という、これまた目からウロコのお話へと繋げていきます。乞うご期待!