
逆転の発想(4)―なぜ「辞書」を引くほど英語が遠ざかるのか?
英語の学習中に「辞書を引く」という行為は、長年、勤勉さの象徴とされてきました。しかし、AIが0.1秒で翻訳を完了させる現代において、多くの学習者が行っている「日本語の訳語を探すための辞書引き」は、英語力を向上させるどころか、むしろ遠ざける最大の障害となっています。
「訳読式」のプロセスでは、辞書を引いて日本語の訳語を当てはめることが「理解」のゴールとされます。しかし、これは英語を「翻訳」して消費しているに過ぎません。これでは、AIが提供する翻訳結果をなぞっているだけであり、脳内には日本語のフィルターしか残りません。
一方で、武蔵ゼミナールの指導において、私が生徒に辞書を引かせるのは、決して「日本語訳」を得るためではありません。英語の内容をより深く、正確に理解し、英語の概念をそのまま脳に焼き付けるための「思考の補助ツール」として活用させるためです。
辞書なら何でもいいわけではありません。私が長年こだわり続けているのは、翻訳のための辞書ではなく、英語がどのように書かれているかという「統語法」の観点から編集された、極めてユニークな一冊で、使い方の指導もしています。
AIが瞬時に訳を出せる今、人間が目指すべきは「翻訳作業」ではありません。辞書を「日本語の訳語を得る道具」から、「英語の概念を深く掘り下げる武器」へと変えること。これこそが、直読直解を体得するための、武蔵ゼミナール流の「辞書との向き合い方」です。
翻訳という「壁」を作るための辞書引きは卒業しましょう。辞書を武器に変えたとき、初めて英語はあなたの血となり肉となります。