
【理系をも圧倒する音読の真実】すべての教科を支配する、最強の「思考の道具」とは?
(前回のあらすじ:英語の本質を音読で極めた生徒は、母国語である国語の力をも覚醒させ、早慶への逆転合格を必然のものにする、という「ゲーテの真実」をお届けしました。今回は、その力がなぜ【理系】にまで通用するのか、その深層に迫ります)
「音読や国語が大事なのは、文系だけの話でしょう?」
そう思われる方は非常に多いです。しかし、事実は全く逆です。
実際、人間力を高める高名な月刊誌『致知』でも特集された、石橋淑子先生が主宰する関西の音読専門塾「まねび学園」では、京都大・大阪大・神戸大などの文系学部だけでなく、理系学部へも多数の合格者を送り出しています。
また、私が以前に見学に伺い、その素晴らしい教育姿勢に深く共鳴した、蛎崎(かきざき)暁子先生が主宰する仙台の国語専門塾「K’sセミナー」でも、東北大をはじめとする難関大学の理系学部へ多くの教え子を合格させています。
なぜ、数理的な論理思考が求められる理系の最難関を突破する武器が、一見関係のなさそうな「音読」や「国語」になるのでしょうか?
答えは、至極シンプルです。 英国数理社、すべての教科書や入試問題は「日本語」で書かれているからです。そして私たち人間は、頭の中で「言葉」を使ってあれこれと考えを組み立てています。つまり、言語とはすべての学問における「思考の道具」そのものなのです。
国語が超得意になり、言語能力が極限まで研ぎ澄まされた生徒は、数学や物理の難解な問題文であっても、その意図を正確かつ超スピードで読み解くことができます。そして、圧倒的な思考力を駆使して、迷うことなく正解への最短ルートを導き出すことができるのです。
◆ 古文・漢文すら「頭から直読直解」する強者たち
実は、優れた国語力・音読の力を身につけた生徒たちは、みんな有名な小説の冒頭や、高校の教科書に載っているような古文・漢文を、なんと「完全に暗唱」することができます。
ただ目で追うだけの勉強ではなく、名作の美しいリズムや論理展開を、暗唱できるまで徹底的に身体に染み込ませる。だからこそ、彼らの脳内には最高峰の「言語の回路」ができあがり、それが他科目の圧倒的な思考力(理系科目を含む)へと繋がっていきます。
これは古文や漢文でも、まったく同じことが言えます。 多くの受験生は、古文や漢文を「いちいち現代語訳のパズル」に置き換えて、後ろから前に返り読みしながら必死に解いています。しかし、当塾の生徒たちは違います。古文も漢文も、返り点に惑わされることなく、その言語特有のリズムのまま、ダイレクトに頭から「直読直解」していくのです。
実は、漢文(古代中国語)の語順は、英語とほぼ同じ「主語(S)+動詞(V)+目的語(O)」。ですから、漢字の意味さえ分かれば、レ点や一・二点などの返り点なしで、頭からそのまま読み下すことができます。
かつて江戸時代、長崎留学で生の中国語に触れた天才儒学者・荻生徂徠(おぎゅう そらい)は、返り点・レ点(訓読法)を排し、「漢詩文は白文(返り点のない生の文章)のまま読み下すべし」と「唐音直読法」を強く主張しました。
当塾が実践している「直聞&直読直解法」は、まさにこの荻生徂徠が辿り着いた語学の真理そのものなのです。漢字や言葉が持つ強烈なイメージが、音読によって脳内にダイレクトに映像として浮かび上がってくる。この境地に達した生徒にとって、入試の古文・漢文はもはやパズルではなく、流れるように一瞬で理解できる「血の通った言葉」へと変わります。
実は、この「暗唱するほどの音読」には、私自身にも強い原体験があります。私は中学・高校時代、国語の定期テストはいつも満点でした。なぜかと言うと、当時はアナウンサーに憧れていた時期があり、国語の教科書を熱心に、それこそ暗唱できるほど徹底的に音読していたからです。やはり、言葉はすべて「音」で仕上がるのです。
これは「英語」でも全く同じことが言えます。 武蔵ゼミナールの生徒たちが英語の成績を爆上げさせるのも、やはり「暗唱できるほど読み込んでいる」からです。
かつて「同時通訳の神様」と呼ばれた國弘正雄氏が、生涯にわたって「只管朗読(しかんろうどく=ただひたすらに朗読すること)」の重要性を叫び続けたのも、まさにそこに理由があります。教科書を、完全に暗唱し、自分の血肉になるまで何百回も音読し尽くす。それによって初めて、脳の中に日本語を介さない「真の英語回路」が出来上がるのです。
大手予備校の「英語だけ」「国語だけ」といった縦割りの指導では、この「言語の本質」が繋がることは絶対にありません。
――なぜ、私がここまで「理系の英語教育」「言葉の本質」にこれほどの執念を燃やすのか。 実は、そこには今から40年以上前、私が大学を卒業した直後に訪れたイギリスでの、人生を決定づけた「ある衝撃的な約束」があったのです。
次回の最終回では、私の教育者としての原点である、イギリス・ノーリッジでの感動的なストーリーをお話しします。これからの時代を生きるすべての若者に聞いてほしい真実です。次回もどうぞお楽しみに!