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神事から商業エンターテインメントへ — 宗教行事の変容

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イギリスから発展

神事から商業エンターテインメントへ — 演劇・スポーツがたどった「変容」の歴史

前回、40年前のイギリス留学で体験した「本当のハロウィン」のお話をしましたが、ルーツをたどると「もともとは神事や宗教的な儀礼だったもの」が、時代や国境を越えて全く異なる姿に変容していく例は、ハロウィンだけに限りません。

私たちが日常で楽しんでいる演劇やスポーツの歴史を紐解いてみると、そこには人間の文化の非常に面白いダイナミズムが隠されています。

1. 演劇:宗教劇から大スケールの興行へ

イギリスの演劇も、その源流をたどれば中世の教会で行われていた宗教劇(聖書の物語を民衆に伝えるためのミステリープレイなど)に行き着きます。日本でも、能や狂言などは元々神事であり、古い神社の能舞台で今なお奉納されているように、芸術の多くは「神への祈りや儀式」からスタートしました。

それがイギリスの伝統的な様式美の中で洗練され、やがて大西洋を渡ってアメリカへ行くと、ブロードウェイなどに代表される巨大な「商業的イベント・大衆興行」へと大きな変容を遂げていきました。

2. スポーツ:村の祭事からグローバルなビジネスへ

スポーツの世界も同様です。 サッカーのルーツとされる中世の「モブ・フットボール」は、村と村の間でボールを奪い合う、ほとんど暴動のようなお祭り(宗教行事の名残)でした。それがイギリスのパブリックスクールでルールが厳格に定められ、「アソシエーション・フットボール(サッカー)」になり、さらにラグビー校では「反則(手で持って走る)が面白い」という偶然のハプニングからラグビーが生まれました。(※soccer は Association Football の略です。)

日本固有の武道である柔道も、「柔よく剛を制す」の精神から、オリンピックの正式種目として世界中に普及する過程で、公平性を保つための「体重別階級制」という厳格なルール・システムへと組み込まれていきました。

そして、これらがアメリカへ渡るとどうなるでしょうか。アメフト、バスケットボール、ベースボールなど、大勢の観客を熱狂させ、巨大な経済効果を生む「商業的なスポーツエンターテインメント」へと見事にトランスフォームしていくのです。

3. 「何でも商業的に変容させる」アメリカの力

ハロウィンが古代ケルトの悪魔払いからポップな仮装イベントに変わったように、演劇やスポーツもまた、イギリスで育まれた伝統やルールをベースにしながら、アメリカという巨大なフロンティア市場の中で「誰もが熱狂できる商業的イベント」へと生まれ変わっていきました。

文化が海を渡り、時代や社会の要請に合わせてその姿をダイナミックに変えていく――。 その足跡をたどってみると、私たちが何気なく見ているスポーツや文化の裏側にある「歴史の重み」と「人間の知恵」が見えてきて、とても興味深いものです。