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カテゴリー別アーカイブ: ★響の音と英語 Vol.1

響の音と英語 Vol.1 第15話「語感で読むということ」

音大志望・響jpg

15話「語感で読むということ」

(塾のキーボードの前。響は演奏を終え、アキ先生と話している)

アキ先生
「響、リーディングのときも、今の“耳”をそのまま使ってみてごらん。
英語の“音楽”を聴くように、英文を感じて読んでいくんだ」


「音楽を感じるように…英語を読む?」

アキ先生
「うん。文の意味だけじゃなく、“語感”っていうか、“英語の流れ”をつかむんだ。
たとえば――」

(黒板に英文を書く)

This is the reason why I decided to try a new method.

アキ先生
「これはさっき聞き取れた例文だけど、リズムに乗って言ってみようか」
(手拍子を打つ)

響(小さく声に出して)
This is the REAson why I deCIDed to TRY a new MEthod…」
(そして、ふと目を見開く)


「わかった…意味じゃなくて、“音の流れ”で読んでいくと、
気持ちがそのまま伝わってくる!」

アキ先生
「そう。それが“語感で読む”ってことだよ。
英語を、“日本語に直して理解”しなくても、まるごと感じられる。
響みたいに、音楽をやってる人には、自然なことなんだよ」


…そっか。
英語って、音楽みたいに“直接”感じる言葉なんだ」

アキ先生
「そう。そしてそれが“直聞直解”“直読直解”ってこと。
目でも耳でも、英語の“語感”をとらえる――それが、英語の本当の学び方なんだ」

(響が自分の部屋に戻り、英語の長文を開いている。イヤホンを外し、英文をリズムに乗せて小声で読む)

響(独白)
「いつか、英語でインタビューを受けても――
通訳なしで、ちゃんと答えられるようになりたい。
自分の言葉で。自分の音で。…世界に、響かせたい」

(英文をゆっくり読む)

This is the REASON / why I DECIDED / to try a NEW METHOD.

(光のような笑顔で、響が空を見上げる)【完】

 


 

― 英語の語感をつかむ日 ―

「英語は、まるで音楽みたいだね」
物語の中で響がふと漏らした言葉――
それは、英語の学びが“語感”に根ざすものであることを、
まさに的確に表したひと言です。

日本の学校英語では、リズムやイントネーションは「おまけ」のように扱われがちです。
しかし、実際に英語を聞き取る力・話す力の核心にあるのは、
“音の感覚”すなわち「語感」に他なりません。

「直聞直解法」や「直読直解法」は、
この語感を育てることを目的としています。

響は、自分の耳で英語の抑揚を聴きとり、
自分の声で英語を“歌う”ように読むことを通して、
“音で意味を感じ取る力”を身につけていきました。

本書を読んでくださった皆さんが、響のように
「英語の音」と「自分の感性」が重なる瞬間を体験されることを願ってやみません。

 

 

 

 

 

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響の音と英語 VOL.1 第14話「感覚が先、意味があと」

音大志望・響jpg

14話「感覚が先、意味があと」

(響きが、塾にあるキーボードに向かいながら音を確かめている。)

響(心の声)
(あの英語の文、あれから何度も頭の中で響いてる。
“This is the reason why I decided to try a new method.”
まるで、メロディみたいに。)

(そこへアキ先生が入ってくる。)

アキ先生
「響さん、いい顔してるね。何かつかめた?」

響(キーボードの鍵盤を指でなぞりながら)
「うん。音楽と同じなんですね。
“先に意味”じゃなくて、“先に音”。
それがしっくりくるって、初めて気づきました。」

アキ先生(うなずいて)
「そう。“感覚が先、意味があと”。
日本語とは逆の順番なんだ。
日本語は意味を先に考えて言葉にするけど、
英語は“音”や“リズム”が意味を連れてくる。」


「意味を先に取ろうとするから、
リズムが崩れて“通じない”英語になっちゃうんですね…」

アキ先生
「そのとおり。英語の“語感”が育てば、
読んでも聞いても、意味が自然に浮かぶようになる。
訳さなくても、“伝わる言葉”になるんだ。」

響(深くうなずきながら)
「音楽もそう。言葉じゃなくて“音”で伝える。
…英語も、音から始めていいんですね。」

(響が目を閉じて、再び英文を口にする。)

響(そっと、英語で)
“This is the reason why I decided to try a new method.”
…ふわっと、心に広がってくる。)

響(微笑んで)
「もっと、読みたくなってきました。」(つづく)

 


 

次回はいよいよ15話・最終話「響の音と、英語の光」
彼女の“語感”が、どこへ連れていってくれるのか…

 

 

 

 

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響の音と英語 Vol.1 第13話「“語感”で読む、ということ」

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13話「“語感”で読む、ということ」

(教室。英語のリーディング練習中。響の目の前に英文が表示されている。)

響(心の声)
…え? この英文、いつもと違う? なんでだろう…)

アキ先生(優しく)
「響さん、“語感”で読んでごらん。意味を日本語に直そうとしなくていいよ。
英語の“音”と“リズム”のまま、頭の中で感じてみて。」


「語感で…読む…?」

アキ先生
「そう。“読解”じゃなくて、“感じる”ってこと。
ピアノの楽譜も、最初から一音一音を理屈で理解してた?」

響(はっとして)
…ううん。耳で覚えたり、手で覚えたり。
気づいたら、音楽が頭の中で鳴ってた。」

アキ先生(微笑んで)
「それと同じ。英語も“意味”をつかむ前に、まず“音の流れ”で感じるんだ。」

響(心の声)
(感じる? 音の流れ…語感…。
これって…音楽の感性に似てるかも。)

響(英文を小声でリズムに乗せて)
“This is the reason why I decided to try a new method.”
…なんとなく、ふわっと意味が浮かんでくる…!)

響(目を見開いて)
「わかる…! 頭じゃなくて、心で読んでる感じ…!」

アキ先生
「それが“語感で読む”ってことだよ。
君には、その感覚、きっとすぐに育つと思ってた。」

(つづく)

 

 

 

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響の音と英語 Vol.1 第12話「音節リズムと内容語リズム」

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第12話「音節リズムと内容語リズム」

英語のリズムには、ふたつの“秘密”があるらしい。

ひとつは、「音節リズム」
もうひとつは、「内容語リズム」

そう翔太は言った。

「響は、日本語の『ミルク』って、何拍で言ってるか分かる?」

「え? ミ・ル・ク、で、3拍?」

「そう。日本語は“拍”の言語なんだ。だけど、英語は違う。英語は“音節”の言語」

「ミルクって、英語だと…milk。たった1音節だ…!」

翔太は続けた。

「『バスケットボール』は日本語で7拍。でも英語じゃbasketball、たった3音節」

響の目がみるみる真剣になっていく。

「このリズムの違いが、英語が通じない最大の理由なんだよ。音が違うんじゃなくて、リズムが狂ってる

……たしかに。メロディーが同じでもリズムが狂ってたら、曲として崩れるもんね」

英語の通じなさは、まるで“リズムのずれた演奏”のようだった。

───

「そしてもう一つが『内容語リズム』。英語では、名詞や動詞など**“意味のある言葉”**だけを強く言う」

「意味のある言葉……じゃあ、逆に弱く言うのは?」

「前置詞、冠詞、代名詞、be動詞、助動詞……つまり“文法を支える言葉”は弱く短く」

響は、ショパンの楽譜を思い出す。

強く響かせる音と、添えるような音──
ピアノの表現と、まったく同じじゃないか。

「英語は、内容語を一定の間隔で打つビートみたいなもの。それに文の“骨格”が添えられて、流れが生まれるんだ」

───

夜。
響は英語のフレーズをリズムに乗せて口ずさんでみた。

 “This is the reason why I decided to try a new method.”

強く読むのは──
“This” “reason” “decided” “try” “new” “method”

まるでピアノのアクセント記号のように、浮かび上がってくる。

英語って、
ただの言語じゃない。

リズム。ビート。強弱。
まるで音楽だ──

───

次の日。

響はジャズチャンツの英語を、ピアノの前で「読む」のではなく、「弾くように」発音していた。

「英語って、やっぱり音楽だよ。読むんじゃない。演奏するんだ…!」(つづく)

 

 

 

 

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響の音と英語 Vol.1 第11話「英語を“演奏する”ように読む」

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第11話「英語を“演奏する”ように読む」

「じゃあ、今日は昨日の続きね」

そう言って、アキ先生はプリントを配った。

What do you wear on your head?
— A hat.

What do you wear on your hands?
— Gloves.

「今日はこのフレーズを、“読む”んじゃなくて、“演奏”してみよう」

「演奏……ですか?」

響の目が一瞬で輝く。

「そう。英語のリズムは、実は音楽のビートと同じなんだ。
だからね、“読む”より、”感じて”。拍子を取って、言葉のリズムを身体で掴むんだよ」

──タタ、タタッ!
アキ先生が、軽く手拍子を入れて読み始めた。

What do you WEAR | on your HEAD?
— A HAT.

What do you WEAR | on your HANDS?
— GLOVES.

先生の声は、まるでジャズドラマーのスネアのように、跳ねていた。

響は思わず口を開く。

「これ……、完全にスウィングしてる……!」

「その調子!」

アキ先生がニヤリと笑った。

「今ね、響の中にある“音楽家の血”が、英語の中の“音”を探してる。
英語って、“意味”だけじゃないんだよ。
意味と音とリズムが、全部セットなんだ。まるで一つの曲のようにね」

響は、目を閉じて、先生のリズムを真似る。

──What do you WEAR… on your HEAD…?

繰り返すたびに、音が身体に染み込んでくる。

「なんか…これ…歌ってるみたい…!」

「そう。それで正解。英語を話すって、音楽を演奏するのと同じことなんだよ」

アキ先生のその言葉に、響の胸の奥がじんわりと熱くなる。

──こんな英語の読み方、初めて知った。

──これは…“勉強”じゃない。“表現”だ。

その夜、響は何度もあのフレーズを口ずさんだ。
まるで新しい曲を覚えるみたいに。
英語のリズムが、彼女の中でゆっくりと鳴り始めていた。(つづく)

 

 

 

 

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響の音と英語 Vol.1 第10話「そのとき、音楽と英語が重なった」

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第10話「そのとき、音楽と英語が重なった」

(前話の回想)
「音で分かる英語なら……私、いけるかもしれない」
そう思ったあの瞬間、響の中で何かが変わり始めていた。

───

放課後。
音楽室のピアノの前に座る響。
その隣には、英語のテキストとメトロノームが置かれていた。

響(心の声)
「ピアノと一緒に英語を読むって…変だけど…やってみよう。」

メトロノームが「カチ、カチ」と刻むリズム。
それに合わせて、響は声に出す。

“What do you wear on your head?”
“A hat.”

強く、弱く。伸ばす、短く。
まるで音符を読むように、英語のリズムが響の体に染みこんでいく。

響(心の声)
「リズムって、ただの音じゃない。意味を乗せて流れてる…まるで音楽だ。」

───

そのとき、響の脳内で何かがカチッと噛み合った。
英語の音と、音楽のビートが重なったのだ。

“Do you have a book?”
“Yes, I do.”

ジャズチャンツのリズムとピアノの伴奏が、
ひとつのセッションのように重なっていく。

響(心の声)
「この感じ……。もしかして、英語って、読むんじゃなくて“演奏する”ものなのかも…?

───

英語の“意味”を、音とリズムで感じ取る。
目で読むのではなく、耳と身体で感じる。

それは、まさに「音楽家の学び方」だった。

───

その夜。
響は、初めて心から英語を「読んでみたい」と思った。

響(心の声)
「英語って……音で感じると、こんなに近くなるんだ。」(つづく)

 


 

続く第8話では、響が「意味のかたまり=チャンク」で英語をつかむ感覚を掴んでいきます。
まさに、直聞&直読直解法の核心へ――!


 

 

 

 

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響の音と英語 Vol.1 第9話「内容語リズムで読む長文」

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第9話「内容語リズムで読む長文」

「英語って、読んでるうちに意味が流れていくんだよ」
翔太の言葉が、ふと響の耳に残っていた。

翌週の塾の授業。
いつものように黒板の前に立つアキ先生が、英語の長文を配りながら言った。

「今日は、“直読直解”ってやつを体験してもらう。文を止めずに、前から意味をつかんでいく読み方だ」

響はちょっと身構えた。
(英語の長文なんて、いつも時間が足りなくなるのに……)
だけど、アキ先生の声は続く。

「そのコツは“リズム”にある。リズムで読むんだ。今日の文はこれ――」

 This is the reason why I decided to try a new method.

「この文を日本語に訳さず、音のリズムで感じてほしい。“内容語リズム”というやつだ」

アキ先生は一語一語の音を区切らずに、スムーズに発音した。
そのときだった。

響の中で、何かがパッとひらけた。

……歌詞みたい)

This is the REASON why I DECIDED to try a NEW METHOD.
頭の中で何度も繰り返すうちに、まるでメロディのように流れ出した。

「理由なんだ、私が新しい方法を試そうと決めた――」
そんな意味が、訳さずに浮かび上がる。

(わかる。まるで歌詞の意味が音で伝わってくる感じ)

隣の翔太が小声でささやいた。
「意味は、頭の中で“後から”浮かんでくる。それがリズムで読むってことさ」

響はうなずいた。

“内容語”だけに自然とアクセントが置かれ、意味の流れがそのまま音になっていた。
「読むって……歌うのと似てるのかも」

教室の蛍光灯の音、紙をめくる音、鉛筆の動き──
そのすべてが静かに調和する中で、響は目の前の英文を、音楽のように読んでいた。

(つづく)

 

 

 

 

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響の音と英語 Vol.1 第8話「目を閉じれば聞こえる、英語のリズム」

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第8話「目を閉じれば聞こえる、英語のリズム」

音楽室のピアノの前で、響はひとり目を閉じていた。

What do you wear on your head? A hat.」

アキ先生の声が、昨日の授業の記憶からふいに蘇る。
ひとつひとつの単語が、まるで音符のように響いていた。

What」「wear」「head」「hat」
響くのは内容語だけ。
あとは谷間に落ちるように、ささやきのように消えていく。

(まるで、ピアノの伴奏とメロディみたいだ…)

響はそう感じた。
曲にはメロディラインがある。聴いてほしいのはそこ。
コードやベースは支える役目。美しく、けれど背景に徹する。

それと同じだ。
英語のリズムにも、主旋律がある。
聞こえるべき「意味のある単語」が、ちゃんと浮き上がるようになっている。

「目を閉じて…耳をすませば…聞こえてくる。」

ピアノの鍵盤に手を置いた。
弾き慣れたショパンの前奏曲を、リズムだけでたどってみる。
すると英語のリズムと、ふと重なる瞬間があった。

(英語は、音楽だ。)

そう思えた時、胸の奥がすっと軽くなった。
これまでの「苦手」は、音ではなく“聞き方”だったのかもしれない。

アキ先生が言っていた。

「発音より大事なのは、リズムだ。内容語を、強く、ゆっくり、はっきりと。機能語は、弱く、速く、あいまいに。」

それをジャズチャンツでやってみたら、響は驚いた。
英語が、音楽のように聞こえた。

いや、むしろ——
音楽の中に、英語がいた。

(聞くんじゃない。感じるんだ。)

響は小さくうなずいた。
ピアノのふたをそっと閉じ、立ち上がった。

「音でわかる英語なら……わたし、いけるかもしれない。」

そのとき、遠くでチャイムが鳴った。(つづく)

 

 

 

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響の音と英語 Vol.1 第7話「英語のリズム、ジャズのリズム」

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第7話「英語のリズム、ジャズのリズム」

(場面:音楽室。響がピアノの横に座りながら、アキ先生と話している)

響(ひびき):
先生、私、最近やっとわかってきました。英語って、日本語とは全然違うリズムでできてるんですね。

アキ先生:
そのとおり!英語には、2種類の大事なリズムがあるんだ。
ひとつは「単語の音節リズム」。そしてもうひとつが「文の内容語リズム」。

響:
うん。1単語ごとに「音節」っていうリズムのかたまりがあって、milkは1音節、basketballは3音節。でも、日本語だと「バスケットボール」は7拍になるから、まったくリズムが合わない。

アキ先生:
そう。それが日本人が英語を話しても「なんか通じない」最大の原因なんだよ。そしてもうひとつが「文の内容語リズム」。これは、伝えたい大事な単語=内容語だけを、強く、ゆっくり、はっきり言うってこと。

響:
内容語だけ?じゃあ、逆に言えば、それ以外は適当でもいいってこと?

アキ先生:
極端に言えば、そうだね。たとえば――

“What do you wear on your head? A hat.”

この文、強く言うべきは What, wear, head, hat
それだけ聞こえれば、ちゃんと通じる。

響(目を輝かせて):
それってまるで、ジャズのビートみたい!

アキ先生:
おっ、さすが音大志望。実はね、このリズム感を身につけるのにぴったりな教材があるんだ。
その名も――「ジャズチャンツ」

響:
ジャズチャンツ……?それって歌?

アキ先生:
歌というより、“英語のビート練習”だな。音節や内容語のリズムをジャズのように繰り返し叩き込む練習法なんだ。まさに、英語と音楽の架け橋だよ。

響:
それ、めっちゃやりたいです!

 


 

(ナレーション)

響の中で、英語と音楽が一本の線でつながった瞬間だった。
「伝えるための英語」――その本当のリズムを、彼女はこれから身体で感じていく。

(つづく)

響の音と英語 Vol.1 第6話「ことばに宿るビート」

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第6話「ことばに宿るビート」

美術室の隣にある音楽室。
放課後の柔らかな日差しが、譜面台に並ぶ五線譜を照らしていた。

その日も、響は音楽室にこっそり立ち寄っていた。
机の上には英語のノートと電子辞書。そして隣には武蔵先生の書いたメモがある。

tennis=2音節」「basketball=3音節」「photographer=4音節」
→英語の単語には“リズム”がある。

響(ひびき)は、思わず声に出してつぶやいた。

te-nnis… bas-ket-ball… pho-to-gra-pher…」

その音節のリズムに合わせて、ピアノの鍵盤をぽん、ぽん、と指で叩く。
音が言葉と連動する。まるで、英語が音楽になったようだった。

 


 

そのとき、背後から声がした。

「リズムに気づいたようだね、響ちゃん」

振り返ると、アキ先生——いや、武蔵先生が立っていた。
どうやら様子を見に来てくれたらしい。

「はい。英語の単語って、長さが違うんですね。
ピアノみたいに、短い音と長い音が混ざってる。
なんか…しゃべる音楽みたいです」

武蔵先生「まさにその通り。英語の“語感”っていうのはね、音節のビート感に気づくところから始まるんだよ。
それがあると、聞き取れるし、伝えられるし、読んでいてもリズムでわかってくる」

先生は、黒板に3つの単語を書いた。

photo-graph(3音節)

pho-to-gra-pher(4音節)

pho-to-gra-phic(4音節)

武蔵先生「どれも“photo”から始まっている。でも、リズムが違う。
そのリズムの変化に“意味のヒント”が隠れているんだ。たとえばね——」

そして続けて書いたのは例文。

This is a photograph of my grandfather.
She’s a professional photographer.
I love photographic art.

「うわ、ぜんぶ“photo”で始まってるのに、意味が全然違う…」

武蔵先生「だから大切なのは、意味じゃなくてまず“音”。
音節リズムの違いが、役割の違いに直結している。
語尾が変わることで、英語は“品詞”も“役割”もリズムで変えるんだ」

「すごい…リズムの魔法みたいですね。
音が違えば、意味も変わってくるってことなんですね」

 


 

響は目を輝かせて、ピアノの鍵盤をそっと叩いた。
pho-to-gra-pher… 4つの音節、4つのビート…」

その瞬間、彼女の中で“英語”という言葉が、またひとつ“音楽”に近づいた。

——“ことば”は“音”でできている。
そして“音”は、“リズム”を運ぶ。

彼女の中に、確かに新しい英語の世界が生まれていた。

(つづく)

 

 

 

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